« 西方見聞録其乃八: マルコを訪ねて三千里 | メイン | 西方見聞録其乃壱拾: 宴の後 »

August 13, 2005

●西方見聞録其乃九: 因果鉄道の夜

あての無い放浪にはえてして摩訶不思議な事が起こるものですが、伊太利亜からオーストリアへの移動はパラレル・ワールドに迷い込んだような「トワイライト・ゾーン」的トリップ感満載の素敵な旅でございました。

「全ての繁栄には必ず終わりが来る」という訳で伊太利亜におけるワイルドな宴が終焉を迎えた8月7日日曜日の朝。Leccoの駅でマルコと抱擁し11月に花の大東京で再会する事を約束して別れ電車は出発しました。車内でフライトの内容を確認すると;

Tax receipt
Confirmation number: 1565274
Receipt and Itinerary as of 03.08.2005 13:24:32
You will need to provide this confirmation number and your passport/photo I.D. and valid visas (where applicable) at check-in to receive your boarding card.

ITINERARY:
FROM/TO FLIGHT DAY DEPARTURE ARRIVAL
Milan - Orio Al Serio / Bratislava 367 07.08.2005 07.08.2005 15:15:00 07.08.2005 16:35:00
Passenger(s) Charge Description Original Amount Amount
NISHIKAWA, KEN AIR - - SKY9 133 EUR 133 EUR
TAX - Insurance 2 EUR 2 EUR
TAX - Baggage Tax 2.12 EUR 2.12 EUR
TAX - Service Fee 5 EUR 5 EUR
TAX - Departure Tax 7.42 EUR 7.42 EUR
TAX - Security 1.81 EUR 1.81 EUR
TAX - Fuel Surcharge 9 EUR 9 EUR

Reservation totals: Air fare 133 EUR
Tax 27.35 EUR
Special Service 0 EUR
TOTAL CHARGES 160.35 EUR

******

「ミラノのOrio Al Serio空港から"ウィーン"のBratislava空港へのフライトか」と漠然と考えつつ空港のチェックイン・カウンターに行くとSky Europe社の女性が僕のパスポートを見て「ヴィザが本当に必要ないか確かめましたか?」。日本において海外渡航が自由になって以来、3ヶ月以内の滞在であれば"オーストリア"はヴィザは必要ない筈だと頑に信じていた僕は「要らない筈ですよ」と答えそのまま機上の人に。

機内では当然英語で非常時の為のアナウンスが始まりました。その後"ドイツ語"でのアナウンスと続く訳ですがドイツ語は全く解さないにせよドイツ人の友人も数多くいるうえ、Irmin & Hidegard邸に滞在していたときにはさんざんドイツ語を耳にしていたので大体どんな響きかは解っております。この機内アナウンス、どう聴いてもドイツ語に聞こえないんです。「オーストリアのドイツ語って青森弁より訛が強いのかなぁ?」とか思いつつシートベルトを着用して因果鉄道999はパラレル・ワールドに向かって離陸。

この日は乱気流が激しく飛行中は殆どシートベルト着用サインがつきっぱなし。たどたどしい英語で的を得ない説明をする機長の機内アナウンスも逆に乗客の不安をあおるばかり。なのに予定時間より15分も早く到着というありえなさ!!!

ところが到着してみると空港のサテライトの上には紅白のオーストリアの国旗とは似ても似つかぬ若干ロシアの国旗に似た旗がたなびいているではありませんか!「もしかしたら英国のウェールズみたいにこの地域も独立運動とかさかんなのかな」と無理矢理自分を納得させ「入国審査」へ。

西方見聞録其乃八でも申し上げた通り今やEU国間ではパスポート検査等一切省略されているのですが、"オーストリア"の筈なのにこのBratislava空港の「入国審査」は執拗に厳しく、周りにはマシンガンを持った警備員が立っています。

何はともあれ特に大きな問題もなく税関も通過して空港ロビーに出てみると「文字化け」としか形容のしようがない不可解な表記だらけ。しかも全ての金額の表示が明らかにユーロではないのです(おまけにかなり寒い)。「ここはオーストリアではない!」という衝撃の事実が僕の脳にゆっくりと浸透して行きます。

しかしネットで予約した際はBratislava国際空港からウィーン市内までシャトルバスで約1時間と書いてあったのにどうしてだろうと思いツーリスト・インフォメーションで訊いてみると「おっしゃる通り。または空港からバスに乗ってBratislava駅に行き電車に乗り"国境を越えて"ウィーンに行く事もできますよ」との返答。

そう、ここは1993年に独立したばかりの隣国スロバキアの首都Bratislavaだったんですね〜。この辺の国々は皆小粒揃いというのは知っていましたがまさかスロバキアとオーストリアの首都が成田と東京より近いなんて知る由もありませんでした。てな訳で計らずして生まれて初めて元共産圏の国の土を踏んでいた僕。

チェ・ゲバラが大好きな僕にとって社会主義の国というのはある種のロマンティシズムをたたえている訳ですが駅に向かうバスの中で見る風景には'MacDonald's' や'KFC'、'IKEA(スウェーデンの家具メーカー。日本語だと「池屋」、英語だと「愛木屋」と発音)'といった西洋資本主義のアイコンがいやがおうにも目に入ってきます。

一抹の悲哀を感じつつかなりレトロな作りのBratislava駅から因果鉄道999に乗ってウィーン南駅に着いた時には日はとっぷりと暮れておりました。これから友人のBabsiに電話をしてウィーン市内のどこかで落ち合い僕の音楽の都における滞在が始まる訳でございます。