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August 22, 2005
●西方見聞録其乃壱拾弐: It's always better on holidays
8月12日早朝、後ろ髪を引かれる思いで後にした音楽の都ウィーン。万感の思いを込めて電車はハンガリー国境へと向かう訳ですがこの日はバリ混みで席の予約も出来ずウィーン-豚ペスト間立ちっぱなし。しかも朝から偏頭痛にも襲われロマンとペーソスに浸る暇すらない大変な旅。
しかし旧オーストリア-ハンガリー・ツイン・エムパイアのもう一つの帝都、豚ペストへはほぼ予定通り昼過ぎに到着。ここから宿探し等々始める訳ですが全く基礎知識もないまま結局ガイドブックも携えずにやって来てしまった僕、右も左も判らす町中駆けずり回った挙句やっと一泊一万フォリント(約5,526円)というそこそこリーズナブルな(っつ〜か日本の感覚からしたらかなり安い)個室で場所も街の中心地というホテルをゲット。因に何故この日電車を始めホテル等ゲキ混みだったかといいますと実はこの一週間ハンガリー版フジロック若しくはグラストンベリーとでも言うべき夏の風物詩、Sziget Festivalという野外フェスが行われていたからなんです。会場は苗場やグラストンベリーと違い豚ペスト市内を走るドナウ川の中州の島。街の繁華街からは電車で15分程度という素晴らしいアクセスの場所なのですが、その代償として市内の安ホテルは皆満員。アウトドア・サバイバル系が元来苦手な僕的には喜んでいいのやら悲しんでいいのやらと行った状況でした。僕の到着した夜は大好きなBasement Jaxxがプレイするという事で行きたかったのですが(因にその前の晩のトリはUnderworld)、疲労困憊しきっていたのと偏頭痛で完全にKO。
結局Sziget Festivalに行けたのは14日日曜日。一日券は5,000フォリント(約2,763円)、フジロックの一日券16,000円と比べて五分の一以下(しかも苗場と違って足代も殆どゼロ)、一週間の通し券でも25,000フォリント(約13,815円)とフジロックの一日券より安いんですよ〜(因に豚ペストの食事&公共交通機関代はせいぜい東京の三分の一程度)。美味いビールが安く、しかも大人だましなB級エンターテインメントも満載のこのフェス、雰囲気も基本的にはピースで知らない人とでも気軽に声を掛け合ったりなかなか素敵なヴァイブでした。しかしこの日はFrantz Ferdinandがメインステージのトリだったせいか、Sziget Festivalが史上最高の6万人を超える入場者を記録したせいか、健全なヤングの夏の風物詩である違法薬物乱用のせいか、Franz Ferdinandというバンド名がオーストリア-ハンガリー帝国民の心の琴線に触れる名前だったせいか、或は単純にハンガリー民族がアルコールを心の拠り所としている人々のせいか観客は生命の危険を感じるくらいのテンションで盛り上がりアリーナはビールの雨及びダイヴ&ボデーサーフィンの嵐。なにしろ体重150kgはあろうかという恰幅の良い欧州人の方々が頭の上に降ってくる訳ですから自分の首の骨が折られないように気をつけつつFranzのコンサート、エンジョイさせていただきました。しかしそんな命がけの体験を通じて東欧スラブ民族特有の人生に対する自己破壊的(=事故は快適?)情熱を垣間見るという貴重な経験をさせていただきましたです(とかなんとか言いつつハンガリー人のルーツって厳密にはモンゴル系でスラブ系ではないらしいのですが、繁殖力旺盛なスラブ民族との混血が進んだ結果、ハンガリアンのデフォルト設定は金髪碧眼。言語等を除いて身体的特徴はすっかりコーカサス民族化してしまっております)。
結局豚ペストは4泊5日滞在したのですが、頭痛が酷くて有名な豚城以外はろくに観光らしい事は一切致しませんでした。しかし街はいい感じで「天然」なレトロ&ポンコツ美をたたえていて結構ツボに入りました。特にちんちん電車と駅の構内に多々ある不可解な商店の数々の魅力は説明不可!最高!
「天然」といえば泊まっていたホテルのオーナーがなかなか面白い近代ハンガリー大衆音楽史の珍エピソードを教えてくれました。去る1970年代 - まだ社会主義体制真っ盛りで西側からの情報がかなり制限されていた時期 - 正に「奇跡的」としか言いようがないルートを経て、とある極東亜細亜の歌謡曲がハンガリーで大ヒットしたんだそうです。
それはなななんと「ブルーライトよこはま from いしだあゆみ」!
町の明かりがとてもきれいね よこはま〜 ブルーライトよこはま〜♪
なにげに食い合わせが悪く無さげな「いしだあゆみ」と「ハンガリー」。この話を聞いてまたちょっと豚ペストが好きになりました。話は若干ずれますが個人的にはクレイジー・ケン・バンドの"レッドライトよこはま"という曲も素敵だなって思います。
Sziget FestivalでFranz Ferdinandがプレイした中にJacquelineという曲がありまして、この一節が実に僕の人生の「あの瞬間」を完璧に代弁してくれたような気が致しました;
It's always better on holiday
So much better on holiday
(ホリディって最高!普段より全然ホリディって楽しいじゃん)
That's why we only work when
We need the money
(だから僕らみんな金が必要な時だけ働くんだよ)
I'm so drunk
I don't mind if you kill me
(もうべろんべろんに酔っぱらってる/もし今殺されたって全然平気さ)
てな訳で次は僕の第二の故郷であり、僕をこんなふうにした張本人であり、地球上で何処よりも何処よりも間違いなく一番心を捧げ、憎んでいる街、倫敦で御座います。


